大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和47年(行ウ)34号 判決

尾西市西萩原一、三一二番地

原告

浅野清

右訴訟代理人弁護士

石川康之

成瀬欽哉

一宮市明治通二の四

被告

一宮税務署長

伊藤新吉

右指定代理人

遠藤きみ

北島詔三

田中博道

吉澤専一

鈴木孝

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告が、原告の昭和四三年分の所得税について、昭和四五年一月二六日付でした更正ならびに過少申告加算税賦課決定(以下本件処分という)を取消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決。

二  被告

主文同旨の判決。

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  原告は昭和四三年分所得税について、昭和四四年三月一一日別表(一)(課税処分表)の「確定申告額」欄記載のとおり確定申告したところ、被告は昭和四五年一月二六日付で右別表の「更正および賦課決定額」欄記載のとおり本件処分をなした。原告はこれに対して、昭和四五年二月二三日被告に異議申立をなし、被告は同年五月二〇日付でこれを棄却した。次いで原告は、昭和四五年六月二〇日国税不服審判所長に対し審査請求をしたところ、同所長は昭和四七年六月二〇日付で棄却する旨の裁決をなし、原告は同年七月二四日右裁決書謄本の送達を受けた。

2  しかしながら、本件更正処分は、次に述べるとおり、適法手続に基づかず、かつ理由のない推計課税によるものであるから違法である。

(一) 更正処分は、国税通則法二四条に従い、納税申告書に記載された課税標準、税額等が税務署長の調査したところと異なる場合に、その調査に基づいて行なわれるが、右の調査は、納税者に権利・利益を保護する手続としての意味を有し、更正処分の前提条件をなしている。従って右の調査に瑕疵があれば、更正処分自体が違法になるものと解すべきである。このように解することによって初めて、納税者に対し憲法三一条の適正手続保障の趣旨に従った実質的な救済が与えられることとなる。

申告納税制度の下では、納付すべき税額は、納税者の申告によって確定するのが原則であり、しかも調査によって納税者に事実上重大な不利益を与えることは明らかである。従って、調査権の行使が許されるのは、申告書の提出がある場合においては、当該申告書の記載が適正でないことにつき合理的な疑いの存するときに限られる。そして、税務調査が国税犯則取締法による強制調査とはその本質を異にする任意調査であるから、調査対象者が任意適切に応答できるように調査理由を具体的に明示した上でなすべきである。さらに、調査深度の問題にしても、任意提出にかかる帳簿書類等を検査することができるのみで、納税者の営業活動を停滞させたり、得意先等に対する信用を失墜させるような態様においてなすことは許されない。とりわけ、いわゆる反面調査は、納税者の信用を毀損するのみならず、調査の対象とされた第三者の営業活動にも重大な支障を与えるから、納税者に対する直接調査だけでその目的を達しえない事項に限って、なすことができるものである。

本件において、被告は原告提出の昭和四三年分所得税確定申告書の適正であることにつき何ら合理的な疑いの存する余地がないのに調査権を行使し、しかも被告は、調査理由を具体的に明示せず、かつ原告の営業上の都合を無視して一方的に反面調査を実施し、もって原告の信用を毀損したものである。従って、本件調査は瑕疵があり、本件更正処分は違法である。

(二) さらに、本件更正処分は、理由のない推計課税によったものであるから違法である。

3  よって、本件処分の取消を求める。

二  請求原因に対する被告の認否・反論

1  請求原因1は認め、同2・3は争う。

2  (反論)

(一) 所得税法はいわゆる申告納税方式を採用し、納税義務者が納付すべき税額はその者の申告により確定するのを原則とするが、最終的な税額の確定は税務署長に留保され、その更正のないことを条件として当該申告が承認され、その更正のないことを条件として当該申告が承認されるにすぎないものであり、税務署長は納税義務者がその義務を正しく履行したか否かを常に調査する職責を有し、申告税額が自己の調査したところと異なる場合には申告納税額に拘束されることなく、国税通則法二四条にもとづきこれを是正しうるのである。

ところで、同条に定める調査は各税法に定める課税要件事実の充足を認識し租税債務額を確認するためのあらゆる行為を総称し、かつ更正処分に先行するが、だからといって法律上当然に更正処分の手続的な適法要件とされるものではなく、法がその履践を更正処分の要件として要求する場合に限って手続的な適法要件となる。しかるに国税通則法はもとより現行税法上その旨定めた規定は見当らないから、国税通則第二四条にもとづく調査は更正処分の手続的な適法要件ではないというべきである。

また、いかなる場合にいかなる調査をなすかについては、同法条その他の法律によるも何らその手続が定められていないから、調査の範囲・程度および手続等についてはすべて税務署長等の権限ある税務職員の合理的裁量に委ねられていると解すべきである。従って税務署長において、過少申告なることを疑うに足りる事情の有無を問わず調査することも何ら妨げられるものではなく、調査の際理由を明示すべき義務もなく、また、いわゆる反面調査の方法を探ることも妨げられるものではない。

(二) なお、原告は本件更正処分が理由のない推計課税による旨主張するが、被告が推計したのは次に述べるような理由によるものである。

すなわち、被告が原告の係争年分の事業所得金額等につき昭和四四年七月下旬頃から係員をして実地調査を行なわせたところ、原告は右係員の求めにも拘らず営業取引に関する伝票帳簿その他の書類の提示をせず係争年当時の営業概況の説明も明確にしなかったので、被告は右所得金額などを実額により計算することができなかった。そのため被告はやむを得ず、被告において判明していた原告取引先等につき調査して取引額等の実額確認に努めるとともに、確認不能のものについては資料等から推計して係争年分の事業所得金額を算定し、本件更正処分をなしたものである。

以上の次第であるから、本件更正処分には原告主張のような瑕疵はない。

三  被告の主張

1  原告は、本件係争年当時、尾西市西萩原一、三一二番地において、織物賃加工業を営んでいたものである。

2  原告は、審査請求の審理の段階に至りはじめて、原告の営業にかかる「営業所得収支基本計算書」(以下「収支計算書」という)等を国税不服審判所長に提出した。そこで被告は、右書類等をもとに改めて調査検討して係争年分の原告の営業所得金額を算出した。

右営業所得金額は、別表(二)(営業所得計算表)記載のとおりである。

(一) 総収入金額 二、八五一、一九六円

原告の取引先である中富毛織有限会社に対する売上金額である。

(二) 必要経費 一、一九〇、二五五円

必要経費の内訳は別表(二)の「二、必要経費」欄記載のとおりであるが、うち原告の争うものは別表(三)(争いとなっている必要経費内訳表)記載のとおりである。なお、

(1) 賄費(別表(三)六) 一六、五〇〇円

右は、原告の雇人福本君代に対する賄費一〇、五〇〇円(月一、五〇〇円、七ケ月分)、およびその他六、〇〇〇円(月五〇〇円、一二ケ月分)である。

(2) 減価償却費(建物以外)(同七) 一〇九、九八六円

右は原告の機械購入先である久保鉄工所に対する被告の調査と「収支計算書」の記載に基づいて、被告が原告の機械・装置の内容を検討して別表(四)(減価償却の計算)記載のとおり算出した金額である。

(三) 専従者控除額(別表(二)三) 一五〇、〇〇〇円

以上によれば、原告の係争年分の営業所得金額は総収入金額から必要経費と専従者控除額を控除したもの((一)-(二)-(三))であるから、その金額は一、五一〇、九四一円となる。

よって、右金額の範囲内でなされた本件処分は、何ら違法でない。

四  被告の主張に対する原告の認否

1  被告の主張1は認める。

2  (同2について)

(一)の売上金額は否認し、(三)の専従者控除額は認める。

(二)の必要経費については、別表(二)「二、必要経費」のうち、「1租税公課」・「2光熱費」・「3旅費交通費」・「4通信費」・「6損害保険料」・「9福利厚生費」・「11組合費」・「12雑費」・「16借入金利子」・「17地代家賃」を認め、その余(別表(三)掲記のもの)は否認する。ただし別表(三)のうち、「一接待交際費」の「1マツヤ電気商会」の分、「三消耗品費」の「2奥田金筬製作所」・「3野田電気商会」・「5一二三電機商会」・「6日本電通附属協会」の分、「五雇入費」の「1福本君代」・「2足立札子」・「3野田照江」・「4伊藤正子」の分は、認める。なお、否認分の必要経費の金額は、別表(三)の「(ロ)原告が審査請求時において主張した金額」欄記載のとおりである。

第三証拠関係

一  原告

原告本人尋問の結果を援用し、乙第三号証の原本の存在と成立を、乙第七号証、第八号証の一ないし一三の成立をそれぞれ認める、その余の乙号各証の成立は不知と述べた。

二  被告

乙第一ないし第七号証、第八号証の一ないし一三、第九号証を提出し、証人長谷川武一、同田中博道、同中山実好の各証言を援用した。

理由

一  請求原因1の事実は、当事者間に争いがない。

二  ところで原告は、本件処分の前提たる調査手続には、(1)調査権を行使すべき場合でないのに調査をした、(2)調査理由を具体的に明示しなかった、(3)反面調査が許される場合でないのに反面調査した瑕疵があり、したがって本件処分が違法である旨主張しているので、先ずこの点から判断する。

所得税法は、いわゆる申告納税方式をとり納税者が納付すべき税額はその者のする申告により確定することを原則としているが、最終的な税額の確定は税務署長に留保され、その更正のないことを条件として当該申告が承認されるにすぎないものである。そして、税務署長は、常に納税者がその義務を正しく履行したか否かを調査する権限と職責を有し、申告税額が自己の調査したところと異なる場合には、申告税額に拘束されることなくこれを更正しうるのであり、しかも税務署長がいかなる場合にいかなる調査をなすべきかは、法律に定めるところがない。従って、税務署長は、過少申告なることを疑うにたりる事情の存する申告について調査をなしうるのは勿論であるが、かかる疑いのない申告について調査をすることも何ら妨げられるものでなく、該調査の結果過少申告なることを発見した場合には、申告税額を更正しなければならないのである。

また、国税通則第二四条等の規定および他の法律によるも、右調査については何らその手続が定められていないから、調査の範囲・程度および手段については、すべて税務署長等の決するところに委ねられ、右調査と調査によって得た資料がともに不十分であったとしても、そのこと自体更正処分の違法原因とはならず、右事由により更正された所得金額ないし税額が不当であった場合には、これを理由として更正処分の取消を求めればたりるものと考えられる。従って、被告が調査理由を明らかにしない等調査方法に関する事由が本件更正処分を違法ならしめることはない。従って、原告の前記主張はそれ自体失当であって理由がない。

もっとも、更正処分をなすにあたり税務署長等において全く調査を怠った場合や、その調査方法が明らかに不当で濫用に亘ったと認められる場合には、当該更正はこれをなしうべき前提要件を欠くこととなり、違法となると解すべき余地がある。

ところで本件において、証人長谷川武一の証言、原告本人尋問の結果によれば、被告は、原告の係争年分の売上金額が増加しているのに原告提出の確定申告書による所得金額が減少していること、右申告書には収入金額・必要経費の記載がないことなどから、原告に対し実地調査の必要があるとして、昭和四四年七月ころから一二月ころまでの間数回にわたり一宮税務署職員を原告宅へ赴かせたこと、その際原告は右職員の求めにも拘らず、係争年分の営業取引関係の伝票・帳簿などの書類を提示せず、営業の概況についても明確な説明をなさなかったこと、そのため被告は、原告の取引先等を調査するなどしたうえ、所得を計算して本件処分をなしたことが認められ、他に右認定を妨げる証拠はない。右認定事実によれば、被告において本件処分の前提となる調査を全くしなかったということもなく、かつ、その調査方法が不当であったものということもできない。従って、原告の手続的違法の主張はすべて理由がない。

なお、原告は本件処分は理由のない推計課税によったものであるから違法であると主張するが、前記認定事集によれば、被告において原告の係争年分の所得金額・必要経費等の実額を把握して計算することができない状況にあったものと認められるから、同年分の所得金額につき所得税法一五六条にしたがい、右金額を推計によって算出したことは許されるべきである。原告の右主張も理由がない。

三  そこで、原告の営業所得金額について検討する。

1  売上金額について

証人田中博道の証言によって真正に成立したと認める乙第一号証、同証人の証言によれば、原告の係争年における中富毛織有限会社への売上額は、二、八五一、一九六円であることが認められ、他に右認定を左右する証拠はない。

2  必要経費について

必要経費のうち、別表(二)(営業所得計算表)の「二必要経費」欄のうち、番号1・2・3・4・6・9・10(ただし建物分のみ)・11・12・16・17、以上合計金額四四四、七〇二円は、当事者間に争いがない。そこで同番号5・7・8・10(ただし建物以外分)・13・14・15(その詳細は別表(三)「争いとなっている必要経費内訳表」のとおり)について、順次検討する。

(一)  接待交際費(別表(三)一)

「1マツヤ電気商会」の分が被告主張どおり四、五〇〇円であることは。当事者間に争いがない。

「2京都(ホテルはとや)」の分としては原告が主張する一四、一〇〇円については、前記争いのない別表(二)「9福利厚生費」の「京都旅行(ホテルはとやほか)二七、〇〇〇円」にこれが含まれている可能性も窺われ、一方右金額を原告が現実に支出したと認めるにたりる適切な証拠もない。

また、「3その他」の分としては原告が主張する三〇、〇〇〇円については、被告が右金額を支出したと認めるにたりる適切な証拠はない。

従って、必要経費と認めるべき接待交際費は、被告主張どおり四、五〇〇円とするのが相当である。

(二)  修繕費(同二)

「1中泉熔接工業所」の分は、証人中山実好の証言により真正に成立したと認める乙第二号証、同証人の証言により、「2愛三木材店」の分については成立に争いのない乙第三号証により、いずれも被告主張どおり、それぞれ一三、五八〇円、五、二〇〇円と認めることができる。

「3その他」の分として原告が主張する五五、八二〇円については、原告においてその内容を何ら具体的に主張せず、これを認めるにたりる適切な証拠もない。

結局修繕費は右「1」「2」の合計額一八、七八〇円と認めるのが相当である。

(三)  消耗品費(同三)

「2奥田金筬製作所」・「3野田電気商会」・「5一二三電機商会」・「6日本電通附属協会」の分がいずれも被告主張どおりの金額(合計三四、七八〇円)であることは、当事者間に争いがない。

そして、証人中山実好の証言により真正に成立したと認める乙第四、第五号証と同証人の証言によれば、「1ユタカ興業(株)」・「4(有)三晃商事」の分がいずれも被告主張どおりの金額(計五〇、四四七円)であることが認められる。

しかし、「7その他」の分として原告が主張する一二八、〇〇〇円については、原告よりその具体的内容の指摘がなく、原告本人尋問の結果によるも右事実の存在を証するにたりず、その他右事実を認めさせるにたりる証拠はない。

結局消耗品費は、右「1」ないし「6」の合計額八五、二二七円と認めるのが相当である。

(四)  雇入費(同四)

「1福本君代」・「2足立札子」・「3野田照江」・「伊藤正子」の分については、いずれも被告主張どおりの金額(合計二九〇、四二〇円)であることは、当事者間に争いがない。

そして、「5足立たね」の分については、証人田中博道の証言により真正に成立したと認める乙第九号証と同証人の証言によれば、原告は、係争年中足立たねに対し多くても二〇、〇〇〇円の賃料しか支払っていないことが認められ、原告本人尋問の結果のうち右認定に反する部分はたやすく信用できず、他に右認定を左右する証拠もないので、被告主張のとおり二〇、〇〇〇円とするのが相当である。

ところで、「6山本すみえ」・「7岩田経つぎ」・「8水谷加工所」の分として原告が主張する金額は、いずれも、被告が後記(5)の「外注費」として計上するところである。

また、「9その他」の分として被告が主張する六五、八二〇円については原告もこれを争わず、これを超える分については、原告において何らその具体的内容を指摘せず、これを認めるにたりる証拠がないので、右被告主張額の限度でこれを認めるのが相当である。

従って雇人費は、右「1」ないし「4」「5」「9」の合計額三七六、二四〇円と認められる。

(五)  外注費(同五)

「1小川毛織」については、原告本人尋問の結果によれば、原告は、昭和四三年六、七月ころ小川毛織に対し約一一〇、〇〇〇円相当の仕事の注文をし同額を支払っていることが認められ、他に右認定を覆えすにたりる証拠はない。右認定事実によれば、この分については、原告主張どおり一〇一、六四〇円と認めるのが相当である。

そして、「2」ないし「4」については、その金額につき格別当事者間に争いがないので、被告主張どおり合計一二七、〇四〇円となる。

さらに、「5その他」については、被告の主張につき格別原告も争わないので、被告主張のとおり、七、二八〇円と認めるのが相当である。

従って外注費は、右「1」ないし「5」の合計二三五、九六〇円となる。

(六)  賄費(同六)

原告主張額三五、四〇〇円のうち、被告主張の一六、五〇〇円をこえる金額については、原告が具体的な主張をなさず、これを認めるにたりる適切な証拠もないので、被告主張額によるのが相当である。

(七)  減価償却費(建物以外)(同七)

成立に争いのない乙第七号証、証人中山実好の証言により真正に成立したと認める乙第六号証、同証人の証言によれば、原告は、係争年当時、別表(四)(減価償却の計算)の「減価償却資産の名称等」欄記載の各機械・装置を所有していたこと、その取得年月・取得価額が同別表中該当欄記載のとおりであることが認められ、原告本人尋問の結果のうち右認定に反する部分はにわかに措信できず、他に右認定を左右する証拠もない。右認定事実に基づいて建物以外の減価償却を計算すると、同別表のとおり一〇九、九八六円となる。

結局、必要経費は、当事者間に争いのない前記合計四四四、七〇二円と、右(一)ないし(七)で認定した合計八四七、一九三円とを加算した一、二九一、八九五円となる。

3  専従者控除額

専従者控除額が一五〇、〇〇〇円であることは。当事者間に争いがない。

4  営業所得金額

前記1の売上金額より2の必要経費および3の専従者控除額を差引いた一、四〇九、三〇一円が営業所得金額である。

四  以上の次第であるから、本件更正にかかる係争年分の所得金額一、三四七、〇〇〇円は前記認定額の範囲内に止まるものであり、また原告のなした本件確定申告額が過少申告に該当することもともに明らかであるから、被告において国税通則第二四条・六五条一項により本件処分をなしたことは、いずれも適法というべきである。

よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないので失当として棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山田義光 裁判官 窪田季夫 裁判官 小熊桂)

別表(一)

課税処分表

〈省略〉

別表(二)

営業所得計算表

〈省略〉

〈省略〉

別表(三)

争いとなっている必要経費内訳表

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(四)

減価償却の計算

〈省略〉

(注1) 減価償却の方法を選定していない場合の減価償却の方法は定額法によることとされているところ(所得税法49条1項、同法施行令125条1号)、原告は減価償却の方法を選定して届出ていないので定額法により計算した。

(注2) 定額法による算式は次のとおりである。

償却の基礎になる金額〔取得価額-残存価額(取得価額×0.1)〕×償却率=減価償却費

(所得税法施行令120条1号イ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令5条及び同別表11参照)

(注3) 織物賃加工業における機械及び装置の耐用年数は13年である。

(減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第2 機械及び装置の耐用年数表((昭和41年蔵令37号改正))「44織物設備」参照)

(注4) 耐用年数13年の定額法の償却率は0.076である。

(減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表10参照)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例